読了

興亡の世界史16 大英帝国という経験 井野瀬 久美惠著

 イギリスと言う国は嘗て(今も?)大英帝国と呼ばれていました。世界各地に植民地を持ったのですが、その内ドル箱の北米植民地は早い段階で独立してしまいます。そこで尻すぼみになるのかと思いきやさらなる発展を遂げます。その原動力はと言うと周知の通りインドの富の収奪なのですが、各地に築いた植民地には富の収奪以外に重要な役割が有りました。余剰人口の受け入れ先としての役割です。産業革命が始まり蒸気機関を初めとする機械化の進展により余剰人口が生まれます。初期にはラッダイト運動等に向けられますが、その後その余剰圧力は海外への移民と言う形を取るようになります。またナポレオン戦争の際に制定された農業保護の為の穀物法が19世紀の半ばに廃止されたこともそれに拍車をかけます。イギリス(或はアイルランド)からの移民の多くはアメリカやカナダと言った北米に向かいますが、それ以外にも南アフリカケニアそれにインドなど世界各地に及びます。本国の没落(?)後もそうした国々は形式とは言え英連邦を作っています。この辺りは我が大日本帝国と違う所ですね。
 本書は植民地を獲得しながら拡大していくイギリスの姿を追い続けるのですが、対象があまりに大きすぎる為か散漫な印象です。何が中心テーマなのかいまいちつかみ切れませんでした。英国史については私も初学者ですから上手く捉え切れないのでしょう。もっと勉強しなきゃ。

大英帝国という経験 (興亡の世界史)

大英帝国という経験 (興亡の世界史)