読了

 大清帝国と中華の混迷 平野聡著  講談社興亡の世界史第17巻
 2005年に中国の歴史全11巻を出した講談社から新たに出されているシリーズが「興亡の世界史全21巻」です。その17巻が本書。清代を取り上げていますが、どう言う切り口を見せているかが楽しみです。
 清と言えば満州族が中国本土を征服し「最後の中華王朝」と言う捉え方をされるのが一般的です。しかし本書ではそれは一面的な見方だと言います。全盛期の清の領土には中国本土の漢族とは別に清の軍事力の基盤にもなっているモンゴルやチベット仏教の本場であるチベット、それに西部のイスラム教徒を抱えています。そのいずれからも推戴される為に皇帝は別々の顔をもっていました。漢族に対しては慈悲深き皇帝、モンゴル族に対しては同盟者、イスラム教徒に対しては信徒の保護者、そしてチベットに対しては仏教の保護者です。中華帝国はあくまでも漢族から見た見方であって、それよりも東アジアの書く民族を統べる世界帝国としての意味合いの方が強かったと言います。
 ってどこかで見たよなぁと思ったら、以前この著者の本「清帝国とチベット問題」を読んでいたのでした。すっかり忘れてました。(^^;)

大清帝国と中華の混迷 (興亡の世界史)

大清帝国と中華の混迷 (興亡の世界史)