街をさるく(大波止の鉄炮玉編)

 「大波止に玉はあれども大砲なし」と長崎七不思議の一つにも挙げられる長崎人なら誰もがご存知の大波止の鉄砲玉です。以前は大波止のターミナルの直ぐ横の目立つ所にあったのですが,最近は場末の方に移設されてしまってすっかり目立たなくなってしまいました。
 この鉄砲玉ですが,正式には「大波止の鉄玉」と言います。2007年に長崎市指定有形文化財に指定された際に決定されたようです。え?鉄砲玉(てっぽんたま)じゃなかとね?とお思いの諸兄も多い事と思います。私もそう思っていました。これには訳があって詳しくはこの長崎歴史文化協会機関誌「ながさきの空」に佐々田学氏が寄稿された論文をご参照頂きたいのですが,要は鉄砲玉との証拠は全く無い為の様です。で、江戸時代のちゃんとした本には「鉄玉」と書いてあったんでそっちにしたよ,と。うーん、それならしゃあないなぁ。ただ別称として鉄砲玉と呼ぶ事は全く差し支えない訳で,それなら構わないでしょう。
 文中重さについての疑問も述べられていますが,円周が175cmの球とすると体積は・・・,えーっと0.09立方メートル。鉄の比重が7.85らしいですから、714kgなければいけません。これに対し実際の重さが555kgですから78%しかありません。合金なのでしょうか?それとも中空?何れにしても砲弾じゃないでしょう。当時は炸薬なんか入れませんから,砲弾ならなるべく重くするはずです。と言う訳でやはり鉄砲玉じゃないんでしょうね。ちょっとがっかりするような寂しいような。