読了
鉄炮伝来 宇田川武久
久しぶりに感想文など。
鉄炮伝来と言えば1543年に種子島に難破したポルトガル船から伝わったというのが定説です。ところが事はそう単純でもなさそうです。と言うのも当時の東アジア海域は倭冦や明国の商人と言うか海賊達の活躍の舞台でした。倭冦達もも当然最新兵器である鉄炮の事は知っていたはずと。それに朝鮮王朝の記録にも難破した武装した明国商人*1が持っていた鉄炮を没収しています。何故かと言うとその鉄炮が日本に渡り,大量生産されて朝鮮に攻めてこられたら困るからとか*2。と言った状況証拠だけですが,どうやら種子島以前に鉄炮は日本に伝わってたんじゃね?ってのが本書の主張。
それはさておき,種子島に来たポルトガル船ですが,同乗していた明国人を通じて意思の疎通をしたのですが、その明国人こそ誰あろう王直その人だったのでした。王直とは鎖国政策を取っていた明国の官憲の目を盗み,浙江省舟山諸島を本拠地に東シナ海沿岸各地を股にかけた海賊の大頭目です。その王直が丁度乗り合わせた船が種子島に流されたのでした。へぇぇええ!!
それと、当時の本場ヨーロッパの火縄銃は銃床が現在のライフル銃と同じように肩に当てて構えるようになっていたらしいです。ところが日本の火縄銃は頬に当てて構えます。この形は東南アジア各地で造られた形式だとか。つまり日本の火縄銃はポルトガルから伝わったのではなく,東南アジア製が伝わったものという事です。これもへぇええ!!だな。
- 作者: 宇田川武久
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1990/02
- メディア: 新書
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