公共交通機関

 最近はてなでは地方公共交通機関の衰退が話題になっています。地方在住者として一言言っておかなければならないでしょう。
 地方の公共交通機関の衰退は本当に危機的なものになっていて、過疎地の鉄道路線は勿論バス路線も軒並み廃線となってきています。各自治体ではそれでもなんとか存続させようと行政の費用でバス等を運営しようとしていますが、勿論赤字です。ただでさえ厳しい自治体財政の中から年間数千万にもなる赤字を補填しなければならないのですから自治体にとっても大きな負担です。しかし敢えてその負担をしてでも路線を維持しなければならない所まで来ているのです。
 モータリゼーションの進展がその原因と言ってしまえばそれまででしょう。しかし考えてみれば山間部等の農村地帯には充実したバス路線なんか元々無かったのです。それば高度経済成長以来地方にも都市的生活様式が侵入し鉄道やバスが出来ました。田舎も便利になりました。テレビを付ければ豊かな生活がそこにあり、消費意欲を刺激しています。農村でも家の中では都会と同じ生活様式が営まれています。一度上がった生活水準を自ら元に戻す事は非常に困難です。不可能と言って良いでしょう。「公共交通機関を利用しましょう」と呼びかけても誰も見向きもしません。何故か?そんなの決まってます。車が圧倒的に便利で快適だからです。車が乗れるのに誰がバスなんかに乗りますか!結果公共交通機関に乗るのは車に乗れない学生や老人だけになるのです。昔は車はおろかバスも無かった訳ですが、その頃と同じような生活に戻る事は出来ないのです。
 この国では地方から人を集めて都市を繁栄させると言う政策を取り続けていました。一律の価値観を持つよう仕向ければ雑作もない事です。都市部への人口集中は今後も変わらないでしょう。大都市への集中は一段落するでしょうが、地方都市への集中は続きます。過疎化は変わりません。
 まぁここまでは何処でも言われている事です。問題はこれからどうするかです。どうすれば良いのでしょう?公共交通機関を維持したいのなら地方在住者は自家用車の所持を禁止する位の事をしなければどうにもならないと思います。しかしこれも短期的には良いですが、長期的には逆に人口流出は加速するでしょう。
 そもそも採算等考えるからいけないのです。過疎地で採算に乗る事業等ある訳ありません。広大な国土*1の維持と言う観点から過疎地の交通網は全て行政サービスとして無料にするべきです。住民だけの毎月定額負担でも良いでしょう。なにしろわざわざそこに住んでやっているのです。国が面倒見るべきでしょう。人が住まなくなった土地は荒廃します。同じ行政サービスの警察や消防だって黒字の所なんてありません。全て赤字です。しかし必要なものです。軍事費に何兆円もかけるくらいなら安いものです。今直ぐ実行するべきです。過疎地の崩壊はもう目の前です。

*1:日本は狭くない!