ミラキャンペーン実戦マニュアル 目測編

 さて、無事にミラを視野に捉える事が出来たら次は目測です。目測には比例法、光階法等がありますが、今回は比例法を御紹介します。私も比例法でやっています。
 比例法とは目的の変光星より少し明るい星及び少し暗い星を探し、変光星がその間のどれくらいの比率のところにあるかを見積もる物です。言葉で言うと難しいですが、案ずるより生むが易しですので御心配なく。

 星図を御覧下さい。ミラ附近の詳細な星図です。星図と視野を見比べて視野の中のある星が星図に記載されているどの星かを把握します。星の脇に書いてある数字が光度です。小数点を省略してあります。88とあれば8.8等級のことです。同定が済んだらミラに明るさが近い星を探します。少し明るい星と少し暗い星を1つづつです。なるべく明るさが近い方が正確な目測が出来ます。光度差1等未満が良いです。
 具体的な目測は、例えば星図に出ている比較星8.0等より暗く8.8等よりは明るいなぁと見積もったとします。それを10等分してどれくらいの比率にあたるかを目測します。例えば丁度半々かなと思ったら5:5。それよりほんのちょっとミラの方が明るいかな?と思ったら4:6,かなり暗い方に近いゾと言う時は8:2とか9:1とかと言う具合に比率を見積もります。どちらかの比較星と全く同じ明るさの時はその比較星の光度=ミラの光度です。
 記録方法は下図の要領です。今回明るい比較星aが8.0等、暗い比較星bが8.8等で7:3と目測したとします。その場合記入法は
80 7v3 88 となります*1
もし比較星bと同じと目測したら
v=88 です。

目測にあたっては注意事項もあります。

  • パッと見る。
    • ジッと見ていると段々明るく見えてきてしまいます。パッと見て第一印象できめるのが良いです。
  • 比較星となるべく水平にする。
    • 人間の眼とは不思議なもので下にあるものが明るく見えます。ですから視野内で下にある星の方が明るく見えてしまいます。一つの目線で見える時は問題ありませんが、視野の端から端まで目線を動かさなければならないような時はなるべくミラと比較星とが水平に見えるように頭を傾けたりして見て下さい。
  • 先入観をもたない。
    • 昨日8.5等だったから今日あたり8.6等くらいかな?等と先入観をもたないようにします。前日目測ミスしてるのかも知れませんから。今目測した数値を信用して下さい。

 さて、目測したら光度を計算します。計算式は
光度v=a+r/10×(b−a)
rは目測した比率の明るい星から近い方の数値です。例えば7:3なら7です。

(例)
比較星a=8.0等、比較星b=8.8等、目測7:3
光度v =8.0+7/10×(8.8-8.0)
=8.0+0.7×0.8
=8.56
≒8.6等(四捨五入する)

これでOKです。計算も慣れれば暗算で出来ます。以上で目測終了です。

*1:記録方法は色々工夫しても良いでしょう。ちなみに私は観測ノートには80 88 7 3と記録しています。