龍馬伝

 今年のNHK大河ドラマはご存知「龍馬伝」です。福山雅治が主役をやるもんで我が長崎県もなんとかあやかろうと昨年から県を上げてのキャンペーンにやっきです。高知県もそうなのかな?録画していた第一回をやっと見ました。なかなか力が入っているなと言う印象。映画みたいな画質です。なんか変。広末涼子も年食ったな。
 坂本龍馬と言う人は日本史界ではスーパースターの一人なのですが、本当にそうなのかは昔から議論のあるところです。ドラマでも新聞記者に岩崎弥太郎に対して「坂本龍馬と言う無名の人物が明治維新の本当の立役者だった事を知っているか?」と聞かせています。実際無名だったんですよね。坂本龍馬にとっての恩人は勝海舟でも西郷隆盛でもなく、やはり司馬遼太郎でしょう。「竜馬がゆく」を読んでかぶれた人は総務省によると約3200万人と推計されています*1。私もその一人。(^^;)
 坂本龍馬の歴史上の出番ってのは本当はほんのちょっとです。と言うか殆どありません。薩長同盟成立のあの一瞬だけ。薩摩と長州の両方に顔が利いたからというのがその理由。薩摩の小松帯刀にしても仮に坂本龍馬がいなくても何らかの手段で長州の桂小五郎に渡りをつけたでしょう。もちろん龍馬が同盟の成立に尽力したのは事実でしょうが、条文に裏書をして同盟の保証をしたとか言うのは買い被り過ぎ。あれはメモをとらずに帰った桂が、忘れないうちに覚え書きを書き、その内容が正しいかどうかを確認するために同席していた坂本に裏書*2させたものです。別に龍馬が同盟自体を保証したわけではありませんし、その能力もありません。土佐の後藤象二郎を通じて山内容堂大政奉還論を進言させて実現させたとも言いますが、大政奉還は別に龍馬が発案したものではなくそういう輿論が早くからあったのに乗っただけです。
 海援隊とその前身亀山社中も作ったは良いものの、トラブル続きで経営は火の車でした。幸い後藤象二郎岩崎弥太郎に引き取られた後いろいろあって三菱になるわけですが、そうでなかったらそのままフェイドアウトして行ったことでしょう。龍馬は1867年(慶応3年)明治維新の直前に暗殺されてしまったわけですが、もし暗殺されていなくてもそのまま忘れ去られてしまい、司馬遼太郎に取り上げられることもなかったでしょう。ご本人には気の毒ですが、暗殺されて良かったのかもです。
 とまぁネガティブに書いてみたわけですが、型破りな人物だったことは確かです。坂本さんには今年はお世話になる予定。早速今年の長崎検定は主催者から坂本龍馬のことを出すぞって予告されていますからしっかり勉強させてもらっています。がんばらんば。

*1:ウソ

*2:「表に御記入しなされ候六条は小・西両氏および老兄龍等も御同席にて談合せし所にて、毛も相違これなく候。従来といえども決して変わり候事はこれなきは神明の知る所に御座候」内容に間違いないよと言うもの