極私的2007年度変光星業界回顧帖

さて今年も残り僅かとなった訳ですけど、変光星業界にも色々有った訳です。ここでちょっと振り返ってみましょう。

ミラ歴史的極大

 ミラ型変光星の代表のミラですが,割と一定な極小に対して極大はその度ごとに大きく差がある事は以前から知られています。カタログにある極大2.0等と言うのは滅多に無い事で、大抵は3等台から4等台の極大です。それが今年の極大では2.0等と言う歴史的な極大を見せてくれました。明るい極大の次は暗いと言う法則があるので今回の極大は暗いでしょうね。(^^)

新星ラッシュ!

 昨年少なかった新星ですが、今年はそのうっぷんを晴らすかの様に春先から立て続けでした。1月のケンタウルス座新星を皮切りに2月にはさそり座新星が相次いで2個、3月にははくちょう座新星にへびつかい座新星と文字通り新星ラッシュでした。その後ちょっと休んで8月のこぎつね座新星、で11月のとも座新星が眼視捜索による発見と言う素晴らしいもの。今年の締めくくりにふさわしいものでした。あ、まだチャンスはあるのか。

R CrB久しぶりに減光

 RCBの代表星のかんむり座Rが2003年以来の大減光を見せてくれました。7月からと時期が遅かったので私は12等台までしか追えませんでした。今どれくらいなんでしょう?もう明け方の東天に昇って来てますよね。

待ちに待ったGW Lib増光

 今年一番の大ニュースはこれでしょう。1983年に9等級で発見され、当時は新星と思われていたこの星ですが、その後UGWZでは?との予言により観測者達が追い続けていました。24年経った今年、オーストラリアのスタビングスさんによって増光が検出されます。光度も発見時を凌ぎCCDでは7等台の観測もありました。第一報が流れるや否や蜂の巣をつついたような大騒ぎでした。UGWZと言う事で再増光が期待されましたが,結局無し。それだけが心残りです。
 私は眼視なんで、いざ発見された後は記念観測するくらいなんですけど,それでも面白かったなー。(^^)

V455 Andいきなりの大増光

 もう一つの大ニュース、HS2331+3905ことV455 Andの増光です。京都大学の前原氏から増光監視の指令が出されていたこの星ですが,御本人によって増光が検出されました。しかも8等台と言う明るい増光。こちらもお祭りでした。で、こちらも再増光無し。同じUGWZでもする奴としない奴があるんですねぇ。

GK Perしつこく再増光

 1901年の新星で3年に一度増光をするこの星ですが,昨年暮れからちょっと早めの増光をしていました。この星は普通の矮新星と違い数ヶ月かけてじわーっと増光してじわーっと減光するのですが,今回はちょっと違ってました。1ヶ月で増光して減光したかと思うとまた増光を繰り返して,結局3回だっけ。今は13等台の平常光度で大人しくしています。

結局暗いままのCH Cyg

 共生星のこの星ですが,最近9等〜10等台に減光したままです。やっと10月頃から明るくなりだして11月には8等台になり、このまま増光か?と期待していたのですが結局又減光しています。最近では私は見ていないのですがNajさんが熱心に追いかけておられていて9等台に逆戻りしています。これからどうなるんだろう?共生星は予想がつきません。

明るい彗星×2

 変光星ではありませんが予想もしなかった彗星が二つも現れて楽しませてくれました。先ずは1月のマックホルツ彗星マックノート彗星。昼間に見た方もおられたようですが、私は残念ながら見る事は出来ませんでした。しかし夕方の薄明の中に輝く彗星の姿は印象深いものでした。その後の南半球での活躍は皆さんご存知の通り。
 もう一つがホームズ彗星。10月24日に突然それまで17等だったものが大バーストして2等台にまで明るくなりました。私は翌25日から見たのですが,明るい惑星状星雲のような姿がこれまた印象的でした。こんな彗星は二度と見られないでしょうねぇ。あ、まだ再バーストの可能性も残ってるから気が抜けないですよね。

M2V11

 特にニュースではないのですが、球状星団M2の中にいる明るいRV型変光星のM2V11をこの夏から秋にかけて重点的に追いかけてみました。結果綺麗な光度曲線が描けて自分的には満足。ただ一周期だけだったんでもう一周期くらいやりたかったなぁという所。また来シーズンもやりたいです。

その他

 他にもP Cygがいつになく明るい状態が続いていたとかV4641 Sgrが一瞬増光したりとかZAndのV919 Sgrの増光とか。で、さっき日変研のV919増光の速報を見てたら私が増光を発見とか書いてました。それ違います。私はMhhさんから最近明るいから見てみろと言われて見ただけです。(^^;)
 「π of the sky」projectが1RXSJ023238.8-371812と言う南天のUGWZの増光を発見したりとかもありましたね。この星南天過ぎて見えるかどうか分らなかったのですが,取りあえず見えました。(^^)
激変星関係でもKX Aqlの14年ぶりの増光やらT LeoことQZ Virの増光、それにEX Hyaの増光とかなんとか。あと新たな変光星観測者を釣り上げたりもしました。(゜▽゜)\(−−;)
 まぁ今年も色々有りました。来年も今年に負けないくらい色々あるでしょう。先ずは400年ぶりの超新星かな。